アンダーグラウンド デンティスト

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もう、わたし、限界……。

今朝起きた時に強く思った。

だから決意をした。

よし…

歯医者に行こう……‼︎

母親と手を繋いでしか歯医者に行った事がないレベルで歯医者嫌いなわたし。

嫌いで嫌いでどーーしょもないから虫歯にならないように毎日歯を磨いてきたわたし。(当たり前か)

そんなわたしを……

親知らずが牙を剥いてきたのだ‼︎‼︎‼︎(歯だけに)

.

ご立派に真っ直ぐ生えてきてくれたのだが、わたしの頬?顎?が細い為に、親知らず同士が見事に頬っぺたを噛む噛む噛む‼︎‼︎‼︎

食事どころか真顔を保つことすら困難‼︎(開いた口が塞がらない)

……と、ゆーことで、13年の意地を解くことに……‼︎

大人の歯医者に行くのが初めてなもんだから、まずはネットで病院探しから始める……。

「意外とたくさんあるな……」

ネット予約が出来て、家から近いところ!という条件と、サイトの口コミを参考に某歯科院を選びメール送信。

《御予約承りました》

2秒できた自動返信……あぁ…ついに予約してしまった……‼︎‼︎(逃げられない)

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時間ピッタリに病院へ。

ドアを開けると、薄暗くとても狭い待合室…受け付けが誰もいないけど…。

と、オロオロしていると奥から女性のお医者さんが「はい?」と出てきた。

「あ、あの…ネット予約した者です……。」と、わたしが言うと、

『え?!……(パソコンをいじる)あーあ、気付かなかった。とりあえずじゃあ、保険証そこに入れて、これ、書いといて!あっちに座ってね!ちょっと待っててくださいね!』

……き、“気付かなかった”……?!

.

.

そしてすぐ中に通されると、1人患者さんがいて、今まさに色々しているみたいだった。

『そこの椅子に掛けて待っててね!コートはそこにハンガーあるから。荷物はーーあー…そこのカゴに突っ込んどいて‼︎』

「ぁ、はい…」

どうやら1人で運営しているらしい。
アシスタントも何もいない。

わたしは指示された通りコートをハンガーに掛けて、カゴ(既に物が色々入ってるカゴが床に置いてあった)に荷物を突っ込み、椅子(診察するベッドみたいなやつ)に座った。

あたりを見回すと……

色んな椅子がボロボロで、器具を置く台とか、洗面台とかはカラフルな汚れが拭かれることなくこびりつき、まるで開き直って模様のよう。

壁紙も所々ベロっと剥がれている。

もう一つ奥の診察椅子には、本やら箱やらゴチャゴチャと山積みになって本来の役割は果たせそうにないルックスをしていた。

それ以上奥は怖いから凝視出来なかったが……そうだなぁ…………

テレビで見る《一人暮らしの貧乏芸人のお宅にドッキリ訪問!》みたいな空気感だった。

つもる不安……不信感………

恐怖心………………

『で、今日は何?』

バタバタと患者さんとこちらを行き来しながら女医さんはわたしに尋ねる。

「親知らずが痛くて…」
『なるほどね!上?下?抜くの?』
「抜……ぁ、ゃ、とりあえず診て頂こうかと…」
『はいはいじゃあ口開けて……あー噛んでるのね!これは下じゃなくて上を抜きましょう!上抜けば噛まなくてすむから!で、』

……わ、わたしと同じ時空に生きてるとは思えないほどのスピードで喋り、基本食い気味で返答が飛んでくる…それに……

『可哀想にね〜親知らずは自分のせいじゃないのにね!痛いし腫れるからね〜〜本当怖いでしょう、可哀想に。』

……な、なぜ一言も安心するような言葉をくれないんだ!!!!!!!!!
医者って、笑顔で大丈夫ですよー怖くないからねーって言ってくれるんじゃないの?!!!!!!!!!!

そして、レントゲンを撮ってから抜歯になる流れだったのだが、ネット予約に気付いてなかった為に他の患者さんとかぶってしまっている故か、『先に薬を貰ってきて
!処方箋…あっちあっちあっちーの方にあるから!わかる?』と、言われ何もしていないのに薬局へ。

あまりにもガサツで、笑えてしまうほどだった。

あっち…って……w

薬を貰って戻ると、間も無く、患者さんの診察が終わるところだった。

いよいよだ……

……

『あ、またさっきみたいに座って、気を楽にして待っててね!あははは』

どうやらわたしの緊張感はガツガツ伝わっていたようだ。

座って待ってる間も、お世辞にも清潔的とは言えない院内を見詰め、爆破寸前の不安を落ち着かせようと精一杯努力をしていた。

『これ、レントゲンね!』

ズバッとわたしの瞑想を破り入ってきた女医さん。

『歯、綺麗よね!これがあーでこーでそーで』

……なんか色々説明されたが大して頭に入らず。

『いやー本当に可哀想。虫歯でよく来院してれば分かるだろうけど、何されるかも全くわかんないんでしょー?可哀想にね〜‼︎グギグギするし、あとー皮が破れるような音とかするけど頑張ってね‼︎痛かったら左手上げて‼︎子供じゃないんだから押さえ付けたりはしないし、我慢しなくていいからね、まあ顔見りゃ分かるから‼︎』

「はい……あははは…」

『あーあと、先に痛み止め飲ませたい。まあいいや。わたしのあげるから、さっき買ったやつはとっておいて!』

と言われ薬を飲む。
…ゆ、ゆるすぎやしないか?
近所のおばちゃんじゃあるまいし……。

なんて考えていると

始まった‼︎

『力抜いててね‼︎』

アザが出来そうなほど全力で拳を握りしめていたわたし。

……ぁあ怖い……。

歯茎にする注射は最強に痛い、とゆー噂を聞いていたが、麻酔の注射は全く痛くなく、拍子抜けだった。

その後はもう…これが医者なのか?と思うほど乱雑かつアグレッシブな動きで口の中をいじくり回され、何が何だか分からず口を開けてるだけだった。

どういう行程がなされてるのか見当もつかん。

でも痛くはないなぁ……と、ぼーーーっとし始めたその時‼︎

『あっ』

……“あっ”?????

今、あっ、て言った?

え、なになになに?

そこからは椅子の高さや角度を何度も何度も変え、さっきよりも乱雑かつアグレッシブな施術となった‼︎

なんだこれなんだこれ‼︎…不安に思ってると

『ちょっと一回うがいしてくれる?』

とのこと。

指示通りうがいをしてまた寝転がろうとすると、器具と一緒に血だらけの歯が。

「あれ?もう抜けてたんですね?」

ほっと胸を投げ下ろそうとしたら…

『まあ…抜けたんだけど…早く寝て』

「……?!」

そして暫く乱雑かつアグレッシブな施術に戻る。

どういうことだ!
なぜ抜けたのにまだヤるんだ!
抜歯ってそーゆーものなのか?!!

…と必死に最悪の状況を考えないように絶望感と戦っていると、

『あ!そうそうこれよ……』

と呟かれたのち……

『はいおしまーーーい☆』

と、椅子を起こされた。

お、おわった…………?

『ほら、これね!抜いたら先っぽが欠けちゃって、中に残っちゃったからもう死ぬかと思ったわー‼︎どうなることかと冷や汗だったけど無事に取り出せたからよかったわー‼︎‼︎』

……夢にまで見た(必死に考えないようにしてた)最悪の状況ーーーwww

笑うしかねぇえええぇけど笑えねえええぇえぇぇ!!!!

そ、そうして、わたしの初めての抜歯は終わったのだ。

ついでに他の歯も診てもらったのだが、虫歯も歯石すらもなく、とても綺麗だそうな。

親に感謝だね。

ただ、もう一つの下の親知らずはもう少し生えてきたら抜いた方がいいね、とのことだった。

これは、名の通り親が知らないことだから仕方ないね。

最後の最後まで、その女医さんの大胆さは続いたのだが……お会計が3240円で、10000円札渡したら
『細かいのないのよ!6800円でいいかな?いいよね!』
と、人生で初めて“病院でおまけ”されたwww

八百屋じゃあるまいし……w

まあ、いっかw

『何かあったら19時まではココにいるから電話しなさいね?ちょっとでも不安だったら、ね!?』

と、薬の説明も4回くらいしてくれた。(もうわかったよ、と思いつつちゃんと4回聞くわたし)

多分…だけど、あの女医さんはすんげぇ良い人なんだけど、人に合わせたり、人に従ったりってゆーことが出来ない人なんだと思う。

だから1人でやってて、片付けとかまで手が回らないような状況なんだろうなぁ。

きっと腕も良いんじゃないかなぁ?(欠けたけど、とりあえず今も全然痛くないし…腫れてもいないし。)

わたしの前に終わった患者さんも
「もし先生がいなかったらどうしようかと思ってたけど、相変わらず頑張っててくれよかったわ〜」
と言って帰って行ったし…

医者の中でのアーティストというか、そういう変わったイケてる女医さんのかね…。

ROCK女医。

まあ、そんなこんなで1つ、親知らずを抜けて、頬っぺた噛まずにすむようになり、普通にもぐもぐできる幸福感を噛み締めているところです。(歯だけに)

無事生還出来て良かった。

ってか、女医さんに、
『激しい運動は控えて……あはははは、テニスとか激しい運動するような子に見えないから平気かあー‼︎』

と爆笑されたんだけど……

わたしそんなに運動出来なそうに見えるの?

ちなみに、テニスならフォアもバックもワンハンドでイケちゃうんだけどなぁーーーー。(高校ではお蝶婦人と言われた)

人って見掛けによらないなーーーー

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(頑張ったご褒美)



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